「KKBOX presents 897 Selectors」第26回目の放送はいかがでしたか?
写真家として名立たるアーティストを撮ってきたハービー山口さん。ご病気で希望を持てなかった少年時代を救ってくれたのは音楽であり、一つのカメラがハービーさんと様々な人を出会わせてくれたんですね。音楽がハービーさんに勇気を与えてくれたように、ハービーさんの写真も人々に勇気を与えています。貴重なお話ありがとうございました!
<番組でOAされた楽曲はコチラ!>
M1. 子供ぢゃないの / 弘田三枝子
M2. 太陽がくれた季節 / 青い三角定規
M3. 愛する人に歌わせないで / 森山良子
M4. Black Magic Woman / Santana
M5. Parisienne Walkways / Gary Moore
M6. Glorious Days / 布袋寅泰
M7. Smile / Natalie Cole
M8. Love Theme from Sunflower (I Girasoli) / Henri Mancini
M9. My Way / Frank Sinatra
↓↓ KKBOXでプレイリストの一部をチェック! ↓↓
<TALK MEMO>
M1. 子供ぢゃないの / 弘田三枝子
⇒イギリス人のヘレン・シャピロがオリジナルのこの楽曲。10〜11歳の頃に聴いたというハービーさんは、西洋のテイストが強く元気いっぱいな曲調にとても共感し、揺さぶられたそう。子供の頃に、腰椎カリエスを患っており孤独と絶望の少年だったハービーさんを勇気づけてくれたのがこの曲だった。
M2. 太陽がくれた季節 / 青い三角定規
⇒日本が学生運動や高度経済成長で活気づいていた頃、病気も治り将来に希望を持ち始めたハービーさんはカメラマンの道を目指す。その頃、ハービーさんが撮ったデモ隊や街並みの写真は今のキャリアの原点だと語った。音楽は勇気を与えてくれるものであり、一時期ハービーさんもミュージシャンに憧れたそう。その道は叶わなかったが、カメラマンもミュージシャン同様、人に勇気を与えられると職業だと感じ、カメラマンの道に進んだ。この曲は、人に勇気を与えてくれるという心情そのものと紹介した。
M3. 愛する人に歌わせないで / 森山良子
⇒この曲が収録されたレコードを当時買ったというハービーさん。明るい希望的な曲も収録されている中、この曲のように悲しさを歌った曲にも惹きつけられたそう。写真も音楽も希望や幸せだけでなく悲しさや不幸な部分どちらも伝えていかなければならないと大学生のハービーさんは感じたそう。
M4. Black Magic Woman / Santana
⇒リリース当時、新宿や渋谷の街頭スピーカーでこの曲が流れており、ハービーさんは「海外に行きたい」という気持ちになったそう。その3年後に渡英したのだが、その数年後にこの曲のドラムを叩いていたマイケル・シュリーブと実際に出会う。既にサンタナバンドを辞めていたマイケル・シュリーブにハービーさんは「何故、富も名声も得られるサンタナを抜けたのか?」と理由を聞いたところ、彼は「自分の力でどれだけ自分の道を歩いていけるか試している。そういう意味ではカメラマンの道を目指している君も僕も同じ人生を歩いているんだよ。」と答えたそう。その言葉にとても勇気づけられたとのこと。
M5. Parisienne Walkways / Gary Moore
⇒1980年に野外フェスでGary Mooreを観て釘付けになった。その1週間後に、なんと本人から電話がかかってきて専属カメラマンを打診され一緒に仕事をするようになった。彼が亡くなる1年ほど前に、国際フォーラムで数十年ぶりに再会した時にハービーさんは「ギターで一番大事なことは?」と尋ねたそう。そうしたらゲイリーは「オリジナリティーを作ること。これに私は20年かかった。」と答えたそうで、これほどの天才でもオリジナリティーを作るのに20年かかったのだから、自分は何年かかるのだろうと感じ国際フォーラムを後にした。
この様に、名立たるアーティストから人生訓のような言葉を多く頂戴しているハービーさんは、THE CLASHのジョー・ストラマーとのエピソードも語った。イギリスの地下鉄で彼に遭遇した時に、プライベートの場面だったので写真を撮るか躊躇したのだが、勇気を振り絞り写真撮影のお願いをしたところ、彼は快諾してくれたとのこと。駅に着くとジョー・ストラマーに「カメラマンなら撮りたいものは全て撮れよ!それがパンクだ!」と言葉を残し電車を降りていったそう。この言葉もハービーさんの背中を押してくれたとのこと。
M6. Glorious Days / 布袋寅泰
⇒この曲の作詞を担当したハービーさん。1985年にBOOWYがベルリンでレコーディングした時に、彼らに密着して写真を撮ったのがきっかけで東京ドームの公演でも写真を撮ることになった。解散後、布袋さんに街で会った時に「ソロ曲の作詞をやってくれないか?ハービーさんのモノクロの写真を言葉にして欲しい。」と声をかけられたそう。作詞経験のなかったハービーさんだが、デモテープを渡された時に布袋さんが鼻歌でメロディーを歌う中、唯一「Glorious Days」とワンフレーズだけ詞を入れており、そこから自分が20歳の時に写真を撮ったある少女との甘酸っぱい思い出がフラッシュバックして歌詞を書いたとのこと。
〜100年後も誰かの心に残っていてほしい曲〜
M7. Smile / Natalie Cole
⇒2013年にパレスチナを訪れたハービーさんは、あまりの過酷な状況に「この人達には希望があるのか・・・」と思わざるをえなかったという。しかし、彼らにレンズを向けると決して人を恨んでいるような表情ではなかったそう。辛い時にこそ"Smile"でいれたら、みんなが助け合えるのに・・・と思いこの曲を選んだ。
M8. Love Theme from Sunflower (I Girasoli) / Henri Mancini
⇒イタリア映画『サンフラワー』から。戦争によってすれ運命を違ってしまった男女を描いた作品だが、「人生とは何故すれ違ってしまうのか。純愛とは何なのか。」と考えさせられるとても切ない1曲として紹介した。
〜現在のハービーさん・・・〜
M9. My Way / Frank Sinatra
⇒写真展を九州・福岡で開催中で、20歳の頃からの写真を展示している。会場の最初に展示されている写真は、さきほど紹介した布袋寅泰「Glorious Daya」の作詞の基になった少女の写真。そして最後に展示しているのは、2016年に偶然その少女と似た女性を代々木公園で撮影した1枚とのこと。ハービーさんは今回の展示会を通して「自分は20歳の頃の感性のままで色々なものを撮っているんだな」と思ったそう。
最後に、フランク・シナトラを紹介した際に「この曲の歌詞は"人生はやりたいことをやって正直に生きる”ことを歌っている。自分も病気で絶望の少年時代からカメラひとつで色々な人に出会うことが出来た」と自身の半生を振り返った。
【EVENT INFO.】
写真展「ありふれた日常は奇跡の一瞬だった・・。」
写真家・エッセイストで、現在、本学芸術学部客員教授のハービー・山口(1950年、東京都生まれ)は、福山雅治などのアーティストから市井の人々までを、常に「希望の表情」をテーマに撮り続けています。本展覧会では、二十歳の頃に撮影された写真をはじめ、1973年から10年間を過ごしたロンドン時代の作品、若い人々の日常を撮ったもの、東日本大震災後の東北やパレスチナなどで撮影された写真から最新作まで約70点を、7つのセクションに分けて展示します。
会 期:平成28年6月4日(土)ー7月31日(日)
開館時間:午前10時―午後5時(入館は午後4時30分まで)
休館日:月曜日(7月18日(祝)は開館)
入館料:一般200円、他大学生100円、高校生以下および65歳以上の方は無料
九州産業大学・九州造形短期大学の学生・教職員は無料
詳細:http://www.kyusan-u.ac.jp/ksumuseum/index.html
【PROFILE】
1950年、東京都出身。中学2年生で写真部に入る。大学卒業後の1973年にロンドンに渡り10年間を過ごす。
一時期、劇団に所属し役者をする一方、折からのパンクロックやニューウエーブのムーブメントに遭遇し、デビュー前のボーイ・ジョージとルームシェアをするなど、ロンドンの最もエキサイティングだった時代を体験する。そうした中で撮影された、生きたロンドンの写真が高く評価された。
帰国後も福山雅治など、国内アーティストとのコラボレーションをしながら、常に市井の人々にカメラを向け続けている。
多くの作品をモノクロームの、スナップ・ポートレイトというスタイルで残している。 その優しく清楚な作風を好むファンは多く、「人間の希望を撮りたい」「人が人を好きになる様な写真を撮りたい」というテーマは、中学時代から現在に至るまでぶれることなく現在も進行中である。
写真発表の傍ら、エッセイ執筆、ラジオ、テレビのパーソナリティー、さらには布袋寅泰のプロジェクト「ギタリズム」では作詞家として参加している。
審査員:CAPA デジタルカメラマガジン APAアワード
選考委員:上野彦馬賞
受賞歴:2011年度日本写真協会賞作家賞
大阪芸術大学客員教授
九州産業大学客員教授
【WEBSITE】
ホームページ:http://www.herbie-yamaguchi.com/
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